K・でざいん

コラム

F.Lライトの建築に学ぶ

2005年9月25日│コラム

昨今の建築の流れは、よりドライに!より明るく!一見すると、まるで輝いているのか?と見間違う程、実に華やかであり、クライアントが若い程、その傾向を強く感じる。
育ってきた原体験や環境の違いなのか、流行の手法に素直について行けない部分が多い。
ただ、その中の一つであるスケルトン(透かす)手法を若い世代がよく用いる事は、もしかすると外の自然を無意識に取り込もうとしているのでは?と、想像したりもする(人間は時として、無意識に、そして本能で行動する)。そう考えると、スケルトン手法もわからないでもない。しかし、外の環境と違う室内に居たまま、安易に自然に触れた気分になる手法は、バーチャルなPCゲームにとても似ていて、何故か腑に落ちない。

さて、古き良き時代のフランク・ロイド・ライトの建築に、いまだに新しい感動を覚えるのは、何だろうか?ライトの作ってきた建築に感動すら覚え、少しでも真似をしたい程憧れを持っているが、されど、ライトの建築には、なかなか近づく事ができない。

ここで、ライトの建築の分析を自分なりに試みてみる。
写真から感じる点を並べてみると、下記事項などである

  • 陰影のある彫りの深い(長い庇など)表情である
  • 周辺の自然に見事に溶け込んでいる
  • 多孔質でウエット感のある材料を多く使用している(歴史さえ感じる)
  • 木質を多用し、しかも芸術的細工が丁寧である
  • 硝子のデザインも全てに細かく行っている
  • 外観に重厚感があり、風格を感じる
  • 多種多様な材料を使用しているが、シンプルなデザインである(統一性)
  • 室内空間が変化に富んでいる(天井の高さも多種多様)  
  • 水平ラインを強調した外観デザインである  

挙げた項目のほとんどが、沖縄の建築に有益なものばかりだと思われる。ライトの建築を通して感じた様に、原点に戻り、沖縄建築の目指す方向の軌道を修正すべきではないか!
少なくとも、自分はそうありたい!

 将来の歴史に堪えうるものは、“時代の波に流されない、普遍的な建築である”事を考えると、ライトの建築は沖縄の建築にとって大きな指標になっている様に思える。
是非、沖縄の建築に活かす為、ライトの建築を大いに学び、活かしたいと思う。

by 金城傑(2005.09.25)